どうも、ひつじ(夫)です。
前回、iFixitによるiPhone12 Proの分解レポートを解説する記事を投稿しました。
前回はこちら!
-
-
iPhone12 Proの分解レポートを分かりやすく解説してみる
続きを見る
今回は、同サイトによるPS5の分解レポートも解説してみたいと思います。
電子部品業界に携わる僕が、なるべく分かりやすく解説していきますので、よろしければ最後までお付き合いください。
Contents
PS5の分解
手順⓪ 本体について
まずは、その本体をよく観察してみましょう。
PS4と比較すると、かなり大型化しているのが一目で分かりますね。
X線装置で撮影したところ、熱を逃がすための大きなファンが1つあるのと、同じく放熱のためのヒートパイプと呼ばれる部品が張り巡らされているのが分かります。
PS5が凄いところは、この放熱システムです。
それについては、また後で詳しく解説しましょう。
手順① 本体カバーの取り外し
まずは本体のカバーを取り外していきましょう。
何と、カバーはドライバーなどの工具が無くとも取り外せることができます。
ここもPS5の凄いことろの1つなのですが、とにかくユーザーフレンドリーなんですよね。
こちらについても後程詳しく解説したいと思います。
カバーが取り外せたら、続いてファンも取り外していきましょう。
ファンというのは、熱を逃がすための扇風機だと思ってください。
かなり大型で、かつ分厚いファンですね。
手順② 光学ディスクドライブの取り外し
続いて、内部のカバーを開封し、光学ディスクドライブを取り外します。
「光学ディスクドライブって何?」って言いますと、ゲームを読み込むための部品ですね。
ゲームの円盤を差し込む部分の中身だと思ってください。
手順③ プレートと基板の取り外し
続いて、内部のスチールプレートを取り外していきます(写真左側)。
iFixitによると、「数えきれないほどのネジが留められているから、困ったものです!」とクレームが寄せられています。
というのも、この分解の冒頭で、「ゲームしたいからネジ1本も漏らさず元通りにしなきゃ!」と意気込んでいるからです。
2-300x300.jpg)
2-300x300.jpg)
スチールプレートを取り外したら、メイン基板を取り外します(写真右側)。
「メイン基板って何?」って言いますと、色んな機能をもつ部品が搭載されている装置です。
計算のためのコンピューターとか、記憶のためのメモリーとか、その他いろんな電子部品がここに集まってます。
2-300x300.jpg)
2-300x300.jpg)
Tips:電子部品って何?
ちょっとここで脱線して、電子部品のお話を。
(前回の記事でも多少触れたのですが、大事なところなのでもう一度!)
「電子部品って何?」って言いますと、本当に小さいながらも色んな機能を持つ装置のことです。
傾きを計測してくれたり、色んな計算をしてくれたり、温度を計ってくれたり、通信をしてくれたりと本当に様々です。
他の電子部品の動きを手助けするための電子部品なんかも数多くあります。
中にはこんなに小さなものも・・・。
村田製作所製 積層セラミックコンデンサー
こうした、本当に小さな電子部品の1つ1つが、僕たちの豊かな生活の発展を支えているわけです。
まさに縁の下の力持ちってやつ。
手順④ 電源部分の取り外し
最後に、ヒートシンクと電源を取り外します。
ヒートシンクは、序盤に解説したヒートパイプと同じく、熱を逃がすための装置です。
電源は、コンセントの先っちょに繋がる装置ですね。
電子部品がギッチギチに詰まってます。密ですね。
手順⑤ 分解完了!
おめでとうございます、ここまで来れたら分解完了です。
以外とあっさりしてましたね。
特殊なドライバーは必要になりますが、分解ビギナーでも十分にチャレンジできるのではないかと思います。
これで終わりだとあっさりしすぎているので、PS5の凄いところを幾つか解説しましょう。
PS5の凄いところ①:液体金属を使用
『ターミネーター2』より
PS5の特に注目されている部分の1つとして、液体金属が採用されています。
分かりづらいですけど、これって実はめちゃくちゃ凄いことなんですよ。
※もちろん画像は全くの別モノです。
そもそも、電子部品はどうしても熱が発生してしまいます。
皆さんも、スマートフォンを長時間いじってると、熱くなってきた経験はありませんか?
特に、脳みその機能を持つコンピューター(CPUなどとも呼ぶ)は、熱を発生させてしまいがちです。
で、PS5のような高機能の装置になると、CPUが爆熱になるんですね。
たくさんの計算や処理を短時間で行うので、その分だけ熱を発生させてしまいます。
そうすると、「どれだけ熱を逃がすか」が非常に重要になるわけです。
PS5だけでなく、様々な装置において、放熱は非常に重要な項目なのです。
通常の装置は、ファン+固体の金属という組み合わせが一般的です。
金属で熱を吸収して、ファンで風を送って冷ますというコンボです。
ところが、PS5は液体金属を採用しています。
これが非常に画期的でして、ソニーも2年以上の時間を掛けて検討したそうです。
液体金属は、熱を逃がす性能が高い分、周りの部品を腐食させたりだとか、電気の通り道を増やしてしまったりとかで、課題も多いんです。
個人向けのCPUで使用されるのは聞いたことがありますが、PS5のような全世界で使用される製品に使用されるのは初めて見ました。
で、その肝心の液体金属は、メインCPUの上に設置されています。
分解の際はよく注意してくださいね。
PS5の凄いところ②:ユーザーフレンドリー
もう1つ、PS5が当初から注目を浴びた点として、一般ユーザーに向けて非常にフレンドリーな設計がされていることが挙げられます。
まず、手順①で解説した通り、本体横のカバーが簡単に取り外せます。
なんで取り外しができるようになっているかというと、ダストキャッチャーが付いているからです。
空気清浄機やエアコンでは、フィルター取り外しができたり、同じようなダストキャッチャー機能があったりしますね。
ただ、ゲーム機としては初めてではないでしょうか。
また、カバーを取り外すことで、M.2 SSDによるメモリーの拡張を行うこともできます。
拡張スロットの写真がこんな感じです。
で、更に驚きなのが、ソニーの公式が分解&解説の動画をYouTubeにアップしてるんですよ。
そんなゲーム機、これまで見たことあります?
おまけ:メイン基板について
ここからはおまけコーナーとして、手順③で取り外したメイン基板の上に、どのような電子部品が載っているのかご紹介してみます。
「基板」と「電子部品」は、その他いろんな家電や車、スマートフォンにテレビのリモコンなど、ありとあらゆる装置に使用されています。
今回は、一部の電子部品だけ抜粋していますが、「へぇ~こんな風になってるんだ~」という目で見て、興味を持ってもらえたら嬉しいです。
おまけ①:メイン基板(表)
中央の赤枠で囲ってるのが、計算処理を行うメインのCPUです。
人間でいう脳みその部分ですね。
画像では既に取り外されていますが、この枠の上にメインCPUが搭載され、その上に液体金属が設置されます。
注意書きの通り、細かい部品は割愛していますが、本当に細かい部品を含めると、この表面だけで100を超える電子部品が搭載されていると思います。
おまけ②:メイン基板(裏)
こちらは裏面です。
特筆すべきはメモリーの多さですね。
分かる範囲だけでも、表と裏で合わせて16個のメモリーが搭載されています。
まとめ
電子部品業界に携わっている僕の目から見て、PS5は本当に作りこみが凄いです。
また、ユーザーフレンドリーも非常に優れており、これまでのゲーム機の常識を破っていると言っても過言ではありません。
このような優れたゲーム機が、税込み4万円台半ばで買えると考えると、非常にお買い得だと僕は思います。
今はまだ世に出たばかりなので、残念ながら転売ヤーの手にしか回っていないようですが、いずれもっと普及していくに違いないでしょう。
ちなみに、iFixitによる分解の難易度ですが、こちらの通りです。
2-300x300.jpg)
ではまた (°▽°)メェ~